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気がつけば今年も蝉が鳴き始め
いつの間にか季節が進み、気が付くと今年の夏の一番の蝉の鳴き声を耳にしたのであります。季節の移り変わりは、気付かずにも進みます。
見上げれば入道雲や坂登る
夏本番、入道雲が空高くそびえ立ちます。坂を歩いて登るとき、時々休憩して空を見上げたりするのですが、高くそびえ立つ入道雲に圧倒されます。
梅雨空に突き刺さりたるテレビ塔
私の町にも、テレビ塔があります。梅雨空の鉛色の雲が低く立ち込める空に、まるで突き刺さらんばかりにテレビ塔がそそり立っています。
新しき友と二人の五月かな
学生だった頃、新しき友人と二人で五月の連休を過ごした想い出があります。その時のことは今でもよく覚えております。
堂々と花咲かしたる紫陽花や
梅雨時の紫陽花は、実に堂々として花を咲かせています。じめじめして過ごしにくい梅雨時に、堂々と咲く紫陽花は、大きな心の保養であります。
気が付けば早や梅の実が丸くなり
やっと梅の花が咲いてくれたか、と思っておりましたら、季節の進行は速く、梅は実をつけ、さらにはその梅の実も丸々としているのであります。
若竹やはや古竹を追い越して
始めは筍だった今年の若竹も、あっという間にぐんぐん真っ直ぐ上に伸びて、早くも古くからの竹を追い越してしまいました。竹の生命力に驚きます。
万緑や今日も晴れなり深呼吸
万緑の植物達の生命力が溢れると言いますか、万緑の生命力がしみ出しているように感じます。深呼吸すると実に気持ち良いのであります。
新緑の緑は日毎に濃くなりぬ
新緑の緑は季節の進行とともに、日に日に緑が濃くなります。そして、植物達は、生命力溢れる万緑の季節へと進んで行くのであります。
万緑や一番元気ある季節
万緑の季節は、植物達が一番生命力にあふれる季節ですが、万緑の植物達の生命力をお裾分けしてもらい、一番元気な季節なのであります。
禅寺の廊下は冷えて梅雨寒や
坐禅会で通う禅寺の廊下は、夏でもひんやりしておるのでありますが、梅雨寒の時の冷え方は、より一層ひんやりと冷えているように感じます。
新緑の風に包まれ坂下る
坂を下るとき、登る時と違って爽やかささえあります。とんとん拍子で足を運べます。その時、新緑の爽やかな風に私独り包まれていたのです。
半袖の腕の白さの梅雨寒や
衣替えして半袖を着るようになるのも梅雨時ですが、まだほとんど日焼けしていない白い腕が梅雨寒のなか、痛々しくさえ感じられました。
紫陽花や堂々とした命かな
紫陽花が実に鮮やかに堂々と咲いておりました。花が咲いているという以上に、紫陽花の命が堂々と咲いているかのように感じられました。
梅雨寒や腕の白さの目立ちたる
梅雨は半袖姿の人々が多い季節ですが、梅雨寒でもあります。日焼けしていないうら白い腕が、梅雨寒の寒さの中で、痛々しくも感じられます。
万緑の中や坂道登り切る
植物が一番生命力ある万緑の季節に、長くて急な坂道を苦労して登り切りました。まるで、万緑の植物達の応援があったかのようです。
紫陽花や雨に合わせて咲き誇り
紫陽花は、梅雨の季節に花の最盛期を迎え、咲き誇ります。梅雨時ですが、紫陽花は実に堂々と咲き、目を楽しませてくれます。
半袖に白き腕なり梅雨寒や
梅雨寒の頃は、衣替えの季節で、半袖の夏服にまだ日焼けしていないうら白い腕に、梅雨の雨や、梅雨寒の肌寒さが痛々しく感じられます。
友人の住まい案じる梅雨の雨
地球温暖化のせいもあってか、梅雨に大雨が降ることがあります。その地方で大雨が降ると、川の近くにある友人の住まいを案じるのです。
夏服の腕清々し五月かな
夏服を着た人がちらほら見られるのが五月であります。半袖の腕は日焼けなどしておらず、五月の時候と相まって、清々しく感じられるのです。