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山茶花も鉛の空を負うておる
彩りが少ない冬に、明る色の花を咲かせる山茶花は、貴重な冬の彩りですが、その花の上にも鉛色の雲の垂れこめる冬の空が広がっています。
年の暮手帳も最後の一頁
一年の終りの年の暮れには、手帳が残すところ最後の一頁のみとなることがあります。そんな手帳を読み返し、感慨に耽ることもあります。
短日や時計の針の無情かな
冬の陽は短い短日です。あっという間に時間が過ぎます。そんな中、時計の針の動きが心なしか速く、それに無情を感じるが例年の常です。
短日や一切衆生に平等に
冬の短い陽の短日は、生きとし生けるもの全てに平等なのです。しかし、そうは言っても短日に無情や寂しさを感じてしまうのです。
水仙の白きを照らす朝日かな
水仙も、冬の貴重な彩りです。水仙の白い花が冬の寒い、鋭さのある朝日に照らされ、鋭く白く輝いているかのように錯覚致します。
年の瀬や時計の針も速くなり
年末の年の瀬は、実に時間の過ぎるのが速く感じられます。時計の針の動きも心なしか速くなっているかのように錯覚致します。
しぐるるや傘を持つ人持たぬ人
急に天候がしぐれたものですから、あらかじめ傘を持たずに外出した人と、傘を準備した人とに分かれました。傘を持たぬ人は一層の寒さです。
少しづつ心ほぐれる日向ぼこ
寒い冬には、心までもが冷え固まっているかのように感じるときがありますが、日向ぼこをしておりますと、それが少しずつほぐれるのです。
枝先の木の葉蹴散らす冬将軍
冬の嵐は、細い冬枯れに残った枯れた茶色の木の葉を吹き飛ばし、まるで冬将軍が木の葉を蹴散らしているかのように感じます。
冬木立ち折れんとばかり枝の先
冬木立の枝の先は、実に細く心許なくちょっとしたことで折れそうです。それでも、春には新芽が芽吹くのです。小さな新芽の基がついています。
水仙を残し草を刈りにけり
ある年、草を刈っている方々が、草に混じって白い花を付けていた水仙を借り残している様子が実にあわれに感じられ、心に残りました。
気がつけば陽が落ちにける冬至かな
二十四節気の一つの冬至は一年で一番陽が短いとされますが、その通り、なにがしか陽が落ちるのもことのほか早く感じます。
枝先の二枚残して冬紅葉
細い枝先に、冬紅葉の葉が二枚だけ残ってあとは枯れて落ちてしまいました。残りの二枚もすぐに散りそうです。心許なく、あわれを感じました。
師も走るように秒針速くなる
師走というくらいです。実に多忙です。時間の過ぎるのがことのほか速く感じられます。時計の秒針の動きも速く感じられます。
春を待つつぼみは丸く膨らみし
椿の鉢植えを育てておりますが、この冬の寒い中でも、つぼみは丸く膨らみ、春に咲くのを今か今かと待っております。
小春日やお地蔵様も日向ぼこ
冬に何度かある小春日が私は大好きです。家の近くにお地蔵様が祀られていますが、小春日には、お地蔵様も日向ぼこをしているかの様です。
散歩道ためらいながら落ち葉踏む
落ち葉を踏むと、ぐしゃぐしゃ・ザクザクと音が経ちますが、何かその音も相まって落ち葉を踏むことがためらわれるのです。
禅寺の寒さひとしお大寒や
禅寺は寒いです。基本的に冷暖房がありません。そんな禅寺でも、大寒にはその寒さがひとしお厳しく感じられまます。
木枯らしに背を向け寄り添う恋人ら
冷たい木枯らしが吹きすさぶ中、木枯らしに背を向けて寄り添い小さなぬくもりを大切に街を歩いていく恋人同士の二人です。
枝先の蕾は春を待ちわびて
冬枯れの、か細い枝の先にも、可愛らしい蕾がついております。その蕾も丸く膨らみ、花を咲かせんと春を待ちわびております。