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侘びしさや音もせで散る紅葉かな
晩秋の紅葉は音も立てず、葉が一枚、また一枚と散って行きます。その様子は、なんとも侘びしく感じられ、もののあわれを感じてしまいます。
根がありて咲くと知れよと彼岸花
秋のお彼岸の頃になりますと、決まって同じ場所に彼岸花が咲きます。土の中に彼岸花の球根が活きている証拠でしょう。
半袖の腕白きまま秋の風
夏にあまり日焼けする機会もなく、腕が日焼けせずうら白いまま秋を迎え、涼しい秋風を半袖の腕で感じているとあわれを感じます。
風なりになびくススキのたおやかさ
ススキの茎は少々の風では、風なりになびいて折れません。自然の造形と書くと大袈裟ですが、風なりになびくススキの茎には感じます
石段を登り終えれば秋の風
石段を苦労して登り終えて、そこに秋のやわらかな風が吹いてきまして、汗や疲れがスーッと引いて心身ともに爽やかになりました。
透き通る風に吹かれし彼岸花
秋の風は清冽で、透き通るような感覚の風です。そんな秋風に吹かれて彼岸花が咲いている清々しさが感慨深く、俳味を感じます。
彼岸花散り急ぐなよ急ぐなよ
一年に一度だけ、秋のお彼岸の時期しか咲かない彼岸花ですが、花が散ってしまうと、次に咲くのは一年後です。あわれを誘います。
無常にも陽はすぐ落ちて秋深し
秋の夕日は、つるべ落としです。秋が深まるにつれ、夕日が沈む時刻がどんどん早くなります。そんな秋の夕日には無常やあわれを感じます。
たおやかになびくススキや踏むまいぞ
散歩の際、ススキが秋風にたおやかになびいている様子に、なぜか、あわれを感じました。そんなススキを踏まないように歩こうと思いました。
坂道を登り終えると秋の風
坂道を苦労して登り終えると、透明で凛とした爽やかな秋の風が吹いていて、疲れを吹き飛ばしてくれ、清々しい気持ちにさせてくれました。
秋の雨雲の間に差す陽かな
ある雨の空の雨雲の隙間を太陽の光が通って、幾筋もの光の筋になり、地上に差している様子は神秘的でさえありました。
根本より折れし今年の彼岸花
彼岸花が咲くのは毎年のことですが、今年の彼岸花は、折角咲いた花が茎の根本より折れてしまいましたが、精一杯花を咲かせていました
何気なく耳に残りしヒグラシや
ヒグラシの鳴き声が私には耳に心地よく感じられ、鳴き声が、特別意識している訳でも無く、何気なく耳に心地よく残るのです。
彼岸花まるで命が咲くように
彼岸花は鮮やかな赤色の花が秋のお彼岸の時期に咲きます。花の形からしても、何やら特別な生命力が花に宿るように感じるのです。
折れさふで折れぬススキはたおやかに
秋風にたおやかになびくススキの茎は、折れそうで折れません。折れずになびいているところに自然の造形を感じます。
秋風や山の麓に古き寺
秋になり、清冽で透明な秋風の吹く頃は他の季節に比べ格段と感傷的になりまして、山の麓の小さな古き寺にも、あわれを感じます。
やわらかな秋の日差しは懐かしき
夕暮れ時のやわらかな秋の日差しを浴びると、感傷的になりまして、子供の頃の懐かしい想い出を想い出し、懐かしい気持ちになります。
秋風や里のはずれに古き寺
秋のやわらかで清冽な、透明な、秋風に包まれると感傷的になりまして、里のはずれにある小さな古いお寺のある景色にもあわれを感じるのです。
彼岸花土の中から命咲く
彼岸花は土の中に球根があり、そこから毎年、紅い生命力あふれるような独特の花を咲かせます。命の花が咲いているかのように錯覚します。
石段を上がり下がりの赤トンボ
秋になると里に赤トンボが降りてまいります。そして、空中を自由に上がったり下がったり飛んでいます。石段の所での様子に面白味を感じました。